ブログ・お知らせ

オススメ!『腸と脳』 みんな、腸内環境を整えよう! ⑥

2020/12/28
ブログ
こんにちは!

佐伯区のはな鍼灸整骨院コイン通り院の山口です。

いよいよ、2021年もわずかとなってきましたね!

連日、コロナウイルスの新規感染者が増加したと報道されております。

どうか、皆さんお身体を大事にして過ごして下さいね


さて!

今回は第6弾!ということで今回も、腸内細菌と人間の情動に関する研究を分かりやすくまとめた本

『腸と脳 内臓感覚は強し』 エムラン・メイヤー 著  高橋洋 訳

の内容をご紹介したいと思います!



第6回となる今回は、不健康な記憶?~幼少期のトラウマがもたらす体調不良~と題して、ご紹介したいと思います


不健康な記憶

 

円満で保護の行き届いた家庭環境が、子供の成長に良い影響を与えるであろうことは直感的に納得できます。

世界のどこでも自分の子供に最適な生育環境を提供しようと親は苦心しているに違いありません。(私もそうです!)

しかし、精神分析の登場以来、いがみ合いの絶えない家庭環境で抑圧されて育ったことも、のちに精神疾患を引き起こしやすいことが知られるようになりました。

およそ、40年前、心理学者のアリス・ミラーは『才能ある子のドラマ―真の自己を求めて』で

あらゆる心の病は幼少期に潜在意識のもとで受けた、未解決の身体的、あるいは、心的トラウマに起因する

と述べました。

そこに書かれていた幼少期の体験と成人後の健康の結びつきが、抑うつ、不安、薬物常用などの心や行動に関する障害の発生のみならず、患者さんが抱える、とりわけ慢性胃腸疾患などの健康問題にも当てはまるのです。

 

ジェニファーという、35歳女性の例を示します。

 

「これまでずっと腹痛を抱えて生きてきましたが、最近になってさらにひどくなったのです。」

 

という相談をジェニファーは当時、胃腸の専門医であった著者に持ち掛けてきました。

どのような腹痛かを知るために、便通について尋ねてみると、

 

「一日中トイレに駆け込まなければならない日もあれば、数日間便秘になるときもあり、下痢の日には腹痛がひどくなるが、トイレに行くと痛みが一時的に収まる」

 

との事でした。また、面談を続けるうちに、彼女は10代前半のことから、パニック発作を伴う不安障害を抱え、周期的に抑うつを経験していることが分かりました。

 

 ジェニファーは、ほかにも二人の胃腸病専門医と精神科医を含む数人の医師に相談し、消化管の上部と下部の内視鏡検査、腹部のCTスキャンなど、いくつかの標準的な検査を受けていましたが、何も異常は見つかりませんでした。

 

「最近診てもらった二人の医師には、特に問題になる以上はないと言われました。まるで、私の思い過ごしに過ぎないとでも言いたそうでした。」

 

 ジェニファーを診察した医師たちは、抗うつ薬のセレクサや胃酸抑制薬のプリロセックなど、脳腸相関が関与する原因不明の症状に良く用いられる薬を処方しました。しかし、それと共に、


「それ以上の医学的処置はない」

「症状と折り合って暮らしていくすべを身につけねばならない」

 

と彼女に告げていました。

 

「医療に対する信頼を全く失いました。」

 

と彼女は言いました。

 

 一般的な医師は、幼少期の生活に関係する危険因子を調査するより、便通についてこまごまと尋ねたり、血圧やコレステロールレベルをチェックし対することに診察時間を費やします。しかし、任意に選抜された54000人近くのアメリカ人を対象に実施された最近の調査では、幼少期やティーンエージャーのころに虐待を受けた経験がある人は、成人後に健康不良、心臓発作、脳卒中、喘息、糖尿病に見舞われやすいと報告されているのです。このような健康障害を成人後に引き起こす危険性は、18歳までに経験した虐待の回数が多いほど高まります。

幼少期の虐待経験(ACE)研究で実施された、大規模な健康調査機関の保有する健康記録の分析でも、アルコール中毒、うつ病、薬物依存症に陥る危険性が412倍高まり、事故報告による健康レベルが24倍低下するという報告が出されています。


ACE質問票:性的虐待、暴力、情動的な虐待、さらには両親が関係する一般的な家庭問題など、子どものころに経験したトラウマ体験について問うもので、質問の多くは、家庭が崩壊し、保護者と子供の関係が損なわれた状況に関する調査を目的としている)。

また、他の研究では、貧困と健康不良のあいだの良く知られた関係が、社会・経済的な地位の低い家庭で暮らすことによる恒常的なストレスに第一に結びるけられることが示されています。

 トラウマ体験、不安定な家庭環境、健康への悪影響という三者間の結びつきは直感的に理解されやすいですが、この結びつきを引き起こしている生物学的なメカニズムが解明され、幼少期のプログラミングに対する有害な影響を逆転させる道が開けるようになったのは、ここ30年のことに過ぎません。

 この解明に寄与する科学的知見は、非常に魅力的なばかりでなく、健康の維持に計り知れない意義を持ちます。もっと多くの医師がこの結びつきに気付き、幼少期の生活事情について患者に尋ねるようになれば、重要な危険因子を発見し、場合によっては、より効果のある統合的な治療プランを提供できるはずなのです!

 

 著者は、数年前に抗うつ薬セレクサを服用するようになった理由をジェニファーに尋ねました。彼女の抱える抑うつと不安について話し合ったとき、

 

「胃の痛みとは何の関係もありません!」

 

と彼女は言い張りました。

著者は、彼女の慢性的な消化管障害と心理的な障害双方の原因とみなしていた要因をそれとなく追及してみました。

 

 「子供のころは幸福でしたか?」

 

すると、奇跡が起こったかのように、幼少期のつらい思い出が彼女の口をついてボロボロと出てきました。

ジェニファーがまだ母親の胎内に宿っていた時、母方の祖母が乳がんになり、妊娠中の母親は落ち込んでいたこと。

少女のころには、両親の間でケンカが絶えず、彼女が8歳の時に両親は離婚していたこと。


さらには、家族の中で、抑うつや消化器官の障害を抱えていたのは彼女だけではなかったのです。

母親も祖母も、折に触れて抑うつ状態や不安障害に陥り、ジェニファーによれば、二人はいつも「胃の問題」で不平をこぼしていたそうです。

このようなジェニファーの履歴は、脳と消化管双方の障害の原因に関して手掛かりを与えてくれました。

 


 たいていの患者さんと同じく、ジェニファーは、自分自身の症状が、身体や情動に関連している可能性や、幼少期のストレスに満ちた暮らしに結びついている可能性を、全く考えていませんでした。

まして、幼少期の経験が、腸と腸内微生物と脳の関係を不健康な方向にプログラミングしたなどとは、彼女には思いもよらなかったのです。

 


 いかがでしたか?

確かに、急な症状を抑え込むためには、薬や手術といった対症療法が強力に有効かもしれません。

しかし、腸と脳の繋がり、すなわち、腸内微生物と脳に込められた記憶との繋がりは医学の進歩に伴ってこのように明らかになりつつあるのです。

もし、慢性的な原因不明の不調に悩まれている方がいれば、

 「子供のころは幸福でしたか?」

 と勇気をもって尋ねてみてください。もしかしたら原因がわかるかもしれません。

一覧へ戻る