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オススメ!『腸と脳』 みんな、腸内環境を整えよう! ⑦
- 2021/02/24
- ブログ
こんにちは!
佐伯区のはな鍼灸整骨院コイン通り院の山口です。
暖かくなったり、寒くなったりを繰り返しながら
だんだんと春の気配を感じますね
花粉症でお悩みの方もいらっしゃるかもしれませんが
減りつつあるコロナウイルスにも気をつけて、皆さんお身体を大事に過ごして下さいね
さて!
今回は第7弾!ということで今回も、腸内細菌と人間の情動に関する研究を分かりやすくまとめた本
『腸と脳 内臓感覚は強し』 エムラン・メイヤー 著 高橋洋 訳
の内容をご紹介したいと思います!
第7回となる今回は、妊婦と子供~子宮を通じて感じるストレス~と題して、ご紹介したいと思います
子宮内のストレス
妊婦の受けるストレスは、子供の未来の健康を脅かすと昔から言われてきました。
強いストレスをうけた母親から生まれた子供の成長は遅く、病気に感染しやすくなります。
また、誕生時の体重は通常より軽いです。
しかし、母親が受けたストレスが子供の行動や脳の発達に悪影響を及ぼす事実関係については、ごく最近まではほとんど何も知られていませんでした。
母親の受けたストレスが腸内微生物の構成の変化に及ぼす影響に関しては、二系統の科学的な証拠があります。
まず、サルを使った研究によって、母親が受けたストレスが、マイクロバイオータの構成を変えることが示されていました。
ウィスコンシン大学マディソン校の神経科学者クリス・コーは、妊娠したアカゲザルに、6週間にわたり毎日(平日のみ)10分間、断続する警報音を聞かせました。
これは、妊婦が分娩までの数日間、大都市の騒音を聞かされるのと同程度のストレスをアカゲザルの母親に与えたことになります。
(ちょっとかわいそうですね・・・)
驚いたことに、ストレスを受けたサルの母親の新生児が宿す、乳酸菌やビフィズス菌などの良性の腸内細菌の数は、静かな環境に置かれた母親の新生児の腸内細菌に比べて少なかったのです。
当初は、母親が受けたストレスがいかにして新生児のマイクロバイオータの構成を変えるのかが不明でした。
というのも、胎児の段階では、腸内にほとんど微生物が宿っていないからです。
しかし、現在では、ストレスから母親の膣内マイクロバイオータの構成が変化し、それが新生児の腸内微生物の構成に多大な影響を及ぼすことが分かりました。
その実験とは、ペンシルベニア大学の神経科学者とレイシーベイルらが、キツネのにおいを漂わせるなど、一連の不快な状況にさらすことで、妊娠したマウスにストレスをかけた実験です。
ベイルの研究室は以前、オスの子供を用いた実験で、同じストレスによって、情動やストレスを統制する脳のネットワークの発達に大きな変化が引き起こされることを発見していました。
彼らは、動物の腸内マイクロバイオータに対するストレスの影響に関して既に知られていたこと(ストレスが腸内細菌の多様性を減少させること)に加え、ストレスを受けた母親の膣内マイクロバイオームが大きな変化を被っているのを発見しました(特に乳酸菌が減っていました)。
ストレスに起因する膣内乳酸菌の現象は、膣内の酸性度を変え、膣感染を引き起こす可能性が高まることが長く知られていました。
しかし、母親の膣内マイクロバイオームに対するストレスの影響が、なぜ動物の子供の脳の発達や行動に重大な影響を及ぼすのでしょうか?
新生児の腸内マイクロバイオータは、最初に母親の膣内微生物が種をまくので、ストレスを受けたマウスの母親は、腸内に通常より少ない乳酸菌を宿す子を産みます。
これは、ストレスを受けたサルの母親が生んだこの、腸内に宿る乳酸菌の数が少ないのと同じです。
このストレス効果は、新生児の腸内マイクロバイオームと脳の神経回路の複雑な構造が、恒久的にプログラミングされる極めて重要な時期に起こるので、とりわけ深刻な問題になるのです。
マウスの母親が受けるストレスは、子供の腸内微生物だけでなく、脳にも影響を及ぼします。
ベイルのチームは、生まれたばかりのマウスのマイクロバイオータが生成した分子を分析し、この脳がむさぼるように費やすエネルギーを供給する分子に変化が生じていることを、さらには、脳の急速な成長を促し、特定の脳領域間の神経結合の形成を支援するアミノ酸が不足していることを発見しました。
妊婦や母親にとって、このような動物実験にいかなる意味があるのでしょうか?
不安障害、うつ病、統合失調症、自閉症などの成人の脳障害、およびおそらくはIBSも、現在では神経発達障害と考えられています。
つまり、幼少期から、あるいはおおくのケースでは胎児のころから、それに関する基本的な脳の変化が生じるのです。
これまでみてきたように、ストレスは神経の発達に影響を及ぼす主要因の一つであり、幼少期に経験した逆境が脳腸相関を変える、少なくとも二つの主要な経路があります。
一つはストレス反応システムと脳腸相関のエピジェネティックな変化
もう一つはストレスが引き起こすマイクロバイオータとその産生物が与える脳への影響です。
この二つの疾病の進行過程に、持続する治療効果を及ぼしたいのなら、介入は早期から行わなければなりません。
全面的に症状が進行した成人後に診察をうけると、ほとんどの治療は対症療法的で一時的なものにとどまり、持続する治療効果を得ることが困難になります。
しかし、最近の科学研究で得られた新たな知見から、成人の患者にも、より効果的な治療オプションを提供できる可能性が開けてきました。
次回は、どの様な治療があるのかを紹介したいと思います。