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オススメ!『腸と脳』 みんな、腸内環境を整えよう! ⑨
- 2021/11/01
- ブログ
こんにちは!
佐伯区のはな鍼灸整骨院コイン通り院の山口です。
最近、急に秋らしく寒くなりましたね。
体調を崩さないように、気を付けてお過ごしください。
さて!
今回は第9弾!ということで今回も、腸内細菌と人間の情動に関する研究を分かりやすくまとめた本
『腸と脳 内臓感覚は強し』 エムラン・メイヤー 著 高橋洋 訳
の内容をご紹介したいと思います!
第8回となる今回は、情動をコントロールしているのは腸内細菌同士の話し合い??~ルーシーの実話~と題して、ご紹介したいと思います
情動の新たな解釈
情動は、幼少期から私たちの思考を色付け、判断に影響を及ぼします。
また、危険が迫ってきたときに戦ったり逃げたりするよう導いてくれます。
そして、恋人探しに駆り立て、子供たちとの触れ合いを促します。
さらには嗜好を生み、肩甲を左右し、ペットを飼わせ、情熱の火を焚きつけます。
この様に、情動的感情は、人間性の基礎にかかせないものです。
哲学者や心理学者による数世紀にわたる研究、あるいは最近では神経科学者の研究を通じて、情動の期限を心や脳や身体に求める、高度な理論が提起されるようになりました。
しかしここ数年間で、ほとんどだれも考えていなかった要因に情動が影響を受けることを示唆する科学的証拠が得られるようになりました。
その革新的な発見によれば、腸と脳と心の複雑な相互作用には、マイクロバイオータが重要な役割を果たすのです。この種の瞠目すべき発見は、内臓反応や内臓感覚、およびその双方が気分、心、思考に与える影響という面で、目に見えない生物が果たす役割をめぐって、画期的な見方を生み出したのです。
ルーシーの実話
数年前、66歳の女性ルーシーを最初に診察した時、彼女の症状は特に例外的にはみえませんでした。
軽い便秘や腹部の不快感に何年も悩まされ、すでにIBSを診断されていました。
このルーシーの話で特筆に値するのは、不安の症状です。
私の診察室をたずねてきたときには、2年間に渡って数週間ごとに激しいパニック発作をおこしていました。
彼女の話によれば、強い恐怖感、動機、息切れ、破滅感などが突然生じ、通常は20分以内で収まるとの事でした。
また、ひどい発作が起こっていない時にも、全般的な不安のレベルが徐々に高まっていきました。
胃腸症状のために私の診察を受けに来た患者の多くが、パニック発作の経験を報告していますが、ルーシーのケースでは、症状の最初の発言をめぐる状況が他の患者とは著しく異なっていたのです。
そのおよそ2年間、ルーシー慢性的に再発する鼻づまりや頭痛に悩まされるようになり、鼻炎と診断されていました。
種々の病原菌(と腸内微生物)を殺す、薬効範囲の広い抗生物質シプロフトキサシンを2週間服用したところ、他に異常はなかったのですが、便通が頻繁になり、便は緩くなりました。
それに対処するために数週間プロバイオティクスを服用したところ、もとの状態に戻ったのです。
それからおよそ6か月後、鼻づまりと頭痛の症状が舞い戻ってしまいました。
主治医は別の抗生物質を処方し、ルーシーは3週間服用し続けました。
しかし、再び腹部の不快感を覚え始めます。
ここまでの経過は、とりたてて驚くべきものではありません。
抗生物質を服用すると、たいてい一時的に便通に変化が生じるものです。
というのも、抗生物質は、腸の最適な働きに必須の腸内微生物の多様性を一時的に損なうからです。
患者の報告や臨床試験の結果から、副作用として、長引く胃腸の不快感や、時にIBSのような症状などが現れることが判明しています。
とはいえ大多数の患者にとっては、こういった胃腸の問題は一時的なものに過ぎません。もともとマイクロバイオータの多様性が低かった患者が、一連の副作用を引き起こしやすいのです。
私は抗生物質の服用を中止していた彼女に、ヨーグルト、ザワークラウト、キムチなどの発酵食品を食べるよう、また、プロバイオティクスのサプリメントの摂取量を増やすよう指示しました。
マイクロバイオータの多様性を高め、もとの腸内微生物の状態を回復させることがその目的です。
それと同時に、セルフリラクゼーション、腹式呼吸、マインドフルネスなどの、不安を緩和するためのアプローチを実践するよう強く推奨しました。
さらに、パニック発作が起こった時のために、舌の下で溶かすバリウムのような薬クロノピンを処方しました。
この複合治療によって、彼女の便通は徐々に正常な状態に戻り、6カ月が経過するころには、パニック発作の頻度は低下しました。
最後に彼女に会った時には、一度軽い発作を起こしただけだったので、クロノピンの服用は中止していたのです。
ルーシーの経験したパニック発作と不安は、胃腸症状が現れ始めてから数週間で増大し、症状が改善すると頻度は低下しました。
薬効範囲の広い抗生物質を二度にわたって服用したことで、一時的にマイクロバイオータの構成と機能が変化したのでしょう。
その変化によってIBSのような症状が引き起こされ、投薬を中止した途端に消えたのです。
だとすると、抗生物質の影響で腸内微生物の構成が変わったために、不安の症状が発現したということになります。
もし、ルーシーのような症状に長年悩みながらも、抗生物質を服用して症状が改善されない場合は、腸内環境があれているせいかもしれません。
食事を変えて、腸内環境を整えることも大切ですよ!