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オススメ!『腸と脳』 みんな、腸内環境を整えよう! ②

2020/09/23
ブログ
こんにちは!

佐伯区のはな鍼灸整骨院コイン通り院の山口です。

第2回!ということで

今回も、腸内細菌と人間の情動に関する研究を分かりやすくまとめた本

『腸と脳 内臓感覚は強し』 エムラン・メイヤー 著  高橋洋 訳

をご紹介したいと思います!

 

1回目では、ありふれた病気がいかに未知の部分が多いか、そして腸と腸内細菌にその先の答えがあるかもしれないという可能性についてお話しました。

 

2回目となる今回は、可能性あふれる腸と腸内細菌がとても密に脳と関係しているという話から始めたいと思います。

 

広げたらバスケットボールコート並⁈体内の巨大な感覚器官

腸の機能は消化だけではないことは、前回述べた通り、

無数の特殊な細胞や信号システムが組み込まれていることからも明らかです。

 

しかし、それでは何のためにこの様な特殊な機能をそなえているのでしょうか?

その明確な答えはいまだ、明らかにされていませんが、私たちの身体の中で最大の表面積を有する巨大な感覚器官としての、腸の必須機能に見出せると言われています。

 

人間の腸は、広げればバスケットボールコートほどの広さになります。

食物に含まれる大量の情報を、シグナル分子の形態でコード化し、

無数のちいさなセンサーで読み取ります。

 

それによって、熱い冷たいといった温度、甘さや辛さといった分子構造、

スパイス刺激や鎮静効果といった化学物質情報を検知してしまうのです。

 ダンクシュートのイラスト

腸と脳の双方向ネットワーク!『内臓反応』と『内臓刺激』


腸と脳は、二つの連絡通路によって結合しています。


1つは神経、もう一つは血流です。


これら二つの連絡通路を利用して、

腸から脳へは満腹感や空腹感といった「内臓刺激」を、

脳から腸へは消化促進や排泄といった「内臓反応」をやりとりします。

 

「○○を食べた、こんな感覚だった、こんな栄養があって、満足OR不快だった」

といった「内臓感覚」を脳の巨大なデータベースに蓄積されていきます。

 

ヒトは、生まれてから現在まで蓄積されたこの巨大なデータベースを利用して、

無意識的に「何を食べるか?」「何を飲むか?」だけでなく、

「どんな人と付き合うか?」「仕事上、どんな判断を下すか?」

をも決定しているのです。

 データセンターのイラスト(複数)データセンターのイラスト(複数)

子供の自閉症も、高齢者の認知症も⁈腸内微生物の多様性と脳疾患に対する脆弱性

腸内微生物の恩恵は、私たちの健康に絶大な効果を及ぼします。例えば、

 

l  腸が処理できない食物成分の消化の支援

l  身体による代謝の統制

l  食物と共に体内に取り込まれた有害な化学物質の処理や解毒

l  免疫系の訓練や統制

l  病原菌の侵入や増殖の防止

 

などなど・・・

 

一方で、こうした腸内微生物の遺伝子(=マイクロバイオーム)の異変やかく乱は炎症性腸疾患、

抗生物質の投与に起因する下痢、喘息などのさまざまな疾病を招き、

自閉症スペクトラム障害、さらにはパーキンソン病や認知症などの

神経疾患にもむずびつく可能性があるのです。

 手の痙攣のイラスト子供の発熱のイラスト

なぜ、このようなことが言えるのでしょうか?

300年前にオランダの科学者、アントニ・ファン・レーウェンフックが洗練された顕微鏡を

製作して自分の歯から擦り取った微生物を観察したところからこうした研究ははじまりました。

以後、微生物を特定、分析する研究は飛躍的に進み、特にここ10数年の進歩は目覚ましいものがありました。

あらゆる分野の科学者がヒトだけでなく、植物、動物、土壌、深海、大気圏高層の微生物を観察し、

健康や環境機構などとの関係を探っています。

 腸内細菌のイラスト

我々の身体に関していえば、もちろん、皮膚や鼻腔、口腔などどこにでも微生物の姿を確認できます。

しかし、消化管、とりわけ大腸には、人体で最大の微生物の個体群が宿っています。

 

殆ど酸素が存在しない暗闇の世界たる人間の腸内には、100兆を超える微生物が生息しています。


これは重量に換算すると900g2700gにもなり、およそ1200gの脳に近似します。


そして、これを構成する1000の細菌種は700万を超える遺伝子を持っています。


つまり、ヒトの遺伝子1つにつき、腸内細菌の遺伝子が360ほど存在する計算になります。

 

要するに、ヒト由来の遺伝子は、ヒトと微生物の遺伝子を合わせた遺伝子総体の1パーセント未満しか満たさないのです!

 


この膨大な遺伝子と多様性は生涯を通じて変化します。

生後3年は多様性が低く、成人後で最大となり、以後は年齢を重ねるごとに減退していきます。



腸内細菌の多様性が低い乳幼児は、自閉症、不安障害などの神経発達障害に対する脆弱性を生む期間に、

また多様性が徐々に減退していく高齢期はパーキンソン病やアルツハイマー病などの神経変性疾患を発症する期間に一致します。

 

この事実からも、腸内細菌の多様性の低下は様々な障害を誘発する危険因子になると考えられるのです。

 

 


今回は、腸と脳の密な関係、そして、腸に住む腸内細菌とその多様性についてお話しました。

 

こんな話をきくと、ヒトは微生物の乗り物に過ぎないのだろうか・・・などと不安になりますが(笑)

一旦置いて・・・

 

次回は腸と脳の連絡手段について話を進めていきたいと思います。

腸の世界にアクセスするには、食物と脳からのシグナルがメインです。

腸と脳は、どのようにして会話をしているのでしょうか⁈

 

 

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